カフェ、はじめます:岸本葉子著のレビューです。
OLが古民家カフェの店主へ!
岸本葉子さんのお買い物関係のエッセイは
数冊読ませてもらっていましたが、
小説も書かれるんだ~と、大変興味を持ちました。
40代のOLが古民家カフェをはじめると言う題材に胸がときめく。
古民家になみなみならず愛着を感じている私にとって、
こじんまりした古民家カフェの店主とか本当に
憧れちゃいます。
さて、そんな憧れや夢がどう描かれているのだろうか・・・。
主人公いさみは、ちょっとしたことがきっかけである老女と出会い、
彼女の家へ足を踏み入れ、その家に一目ぼれ。
そして、老女の事情をあれこれ聞くうちに、
この家を自分に貸してくれないかと頼み込む。
彼女はこの古民家の存続を願い、その手段として、
おにぎりとお茶のカフェをはじめようと考える。
「おいおい、大丈夫か?」という展開ではあるのですが、
賃貸契約から資格の習得、部屋の改装等々、人々の
アドバイスや援助を受けながら、あれよあれよという間に
おにぎりカフェが誕生する。
カフェと人間関係が同時進行で出来あがる
本書は単なるカフェ作りの話ではなく、そこに関わる人々の繋がりが
とても面白い。お婆さん、娘、この家に出入りする不動産関係者等々、立地条件がいい場所に土地を持っていると、
こんな風に業者が出入りしてくるものなのか・・・
という興味深い話も含まれている。
「考えが甘い」と言われていたいさみのカフェ。
事実、お客さんがたくさん訪れる店になったわけでもなく、
現実問題、この状態でいつまで続けられるのかという
不安を残す結末ではあったけれども、きっとこれぐらいの
勢いがないと出来なかったことだろう。
そして、彼女が動いたことによって手に入れた人との繋がりは
なにものにも代え難い。
会話ベースで進行するので、読み始めればあっという間。
小説としてはちょっと物足りなさを感じないでもないが、
個人的には古民家カフェに興味があったので最後まで楽しめた。
この作品、ドラマ化したら面白そう。
カフェのその後も知りたいなぁ~。
少しでもお客さんが増えていることを祈る!