鵺の家:廣嶋玲子著のレビューです。
豪商・天鵺家の隠された過去を探る
よくある呪われた一族の物語です。
こういうタイプの話、結構好きで、冒頭から不穏な空気が
充満しているほど、読む気が漲って来ます(笑)
豪商・天鵺家には、数々のしきたりがある歴史のある一族。
後継ぎである鷹丸の遊び相手として、茜という少女が
この一家の養女として迎い入れられるところからはじまります。
茜の家族は彼女が養女になったことにより、天鵺家から援助を
受けることになり、茜もそれに応えようと頑張ってこの一家に
慣れようとするが、どうも自分の家とは異なる冷たさに違和感を
覚える。
天鵺家の家族構成は、当主の燕堂、父の椋彦、妻のぬい、
叔母の千鳥、鷹丸の世話係の静江。
そして、鷹丸の護り神のような存在の雛里。
彼女は霊のようなもので普通の人間には見えない存在。
この一族はとにかく後継ぎである者が無事に育つことに重きを置く。
それゆえに過去に犠牲者を出し、悲劇を繰り返してきた。
この悪い因縁を断ち切ろうと、鷹丸と茜が動き出す。
やがて一族の恐るべき過去が暴かれるのだが・・・。
山場はちょっとファンタジー感が強すぎたかなーという印象で、
すっぽり物語に入り込めなかったのが残念。
まぁ、ファンタジーであるわけだから、乗らないといけないわけだが(笑)
とは言え、ラストまでのひんやりしたお屋敷の不穏な空気感や、
千鳥や静江など、脇役の動きも謎が多く好奇心を掻き立てられる
シーンも少なくない。
そして、ラストもすっきりするので、悪くはないのだけれども。
銭天堂の廣嶋さんだけに、今後も長編、期待しております。