お引っ越し:真梨幸子著のレビューです。
止めろと言われても・・・
自分でも不可解なのだが、嫌~~な気分になるから
止めておけばいいのに、たまに読みたくなっちゃうのが
真梨さんの小説。
「扉」「棚」「机」「箱」「壁」「紐」の6編からなる
引越しにまつわる話。そして最後に「解説」。
いやー、もうほんと止めてー。
なんでまた、最後に来て、こんなことを書くのだろうか・・・。
本書の「解説」には唖然とさせられる。
この「解説」は、なんと小説の一部なのです。
その解説を読むにあたって「警告」が記されている。
この本は、「読んではいけない」類の本だ。
今、ここで本を閉じられるのが賢明だろう。
それでも先をお読みになりたい方は、自己責任で読み進めてほしい。
と、このあとの「解説」を読むか、読まないかの選択を
読者に委ねてくるのだ。
ちょっと待って!何を今さら・・・。
「読んではいけない」類の本ってなにさ??
たかが演出じゃん~って思ってしまいたいんだけど、
どうも落ち着かないのです。
最高の山場とも言えるラストの「解説」。
気を抜いていたら最後にえらい襲撃に遭ってしまうといった
感じでしょうか。
怖いのは人間関係にも沁み込んでいる
さて本編である各章も、それぞれ不気味な話ばかり。
ラストが曖昧な感じで、すっきりしないまま読み進めてゆくと、
やがて、少しずつ各章になんらかのつながりがあることに気づく。
わかり易いところで言うと「アオシマさん」の登場かな。
怨霊マンションと言われている話から、社内の引っ越し等、
そこで起こる不気味な事件があちこちで展開される。
ゾワゾワさせられるのはホラーな部分だけではなく、
この人の書く人間関係にもそれが沁み込んでいる。
ということで、各章なんとなく消化不良だった部分が、
最後の「解説」で明確になった。
だから、「読むな」と言われたって読まずにはいられないんですって!!
はぁ、、、やっぱり疲れる、やっぱり嫌な感じ。
残像はたくさんのゲジゲジ・・・。
いいことなんてなんにもないのに、結局、最後まで
眉間に皺を寄せながら、心拍数が上がってゆく状況を
愉しんでしまったような気もする。
「やめろと言われても♪ (ヒデキ~)今では遅すぎる♪ (ヒデキ~)」
って思わず歌っちゃったよ(笑)