まにまに: 西加奈子著のレビューです。
普通の日の西さんを覗きに・・・
「まにまに」というタイトルが、私は大好きだ。
─────と、西さんはおっしゃっている。
うん、私もこのタイトルが好きです。
なんだかおまじないみたいな響きだなーと思っていたら、
西さんもそのようなことをおっしゃっていて、嬉しくなってしまった。
さて、久しぶりの西さんのエッセイ。
西さんの書く小説が大好きなわりに、普通の日の西さんの姿を
知らなかったりする。だから、ひとつひとつ明かされることが
とても新鮮に感じました。
この本はふらっと西さんのお宅へ伺って、プライベートな部分を
話してもらったような気になれるエッセイでした。
日々どんなことに目が向き、どんなことに泣いたり笑ったりしているのか。
そして、どんな音楽を聴き、どんな小説に心を躍らせているのか。
じっくり話を聴くうちに、西さんの世界へ引き込まれてゆく。
エッセイを読んで行くうちに西さんの歩んで来た道のりが伺える。
東京に出て来たばかりの時の心細かった状況から、結婚や文学賞の
受賞など静かな文筆業の裏には、目まぐるしい変化がこの6年で
あったのだなぁと、感じさせられます。
気さくな西さんの快活なお喋りを聴いているよう
小説からも感じていたけれど、とてもチャーミングな女性。
それを確認するために読んだけど、まったくその通り(笑)
どんな場でも「かなこです」と言えず「西です」と言う西さん。
無駄な自意識を持つ部分さえも私には魅力的な女性に映る。
適度に笑かせてくれるし、直木賞受賞した大作家さんなのに、
気さくだからまるで友達のような親近感がもてる。
西さんの関西弁も可愛いしなぁ。
エスニック感漂う装丁画も西さんが描いたもの。
表紙からも「まにまに」した感じが、これまたわくわくさせられます。
小説もエッセイも、彼女の書いたものは
口角が上がる魔法が含まれている。
まにまに。
ね、この言葉だって言ったあとは口角が上がる。
まにまに。
何度も言っちゃう不思議な言葉。