美しく生きる―中原淳一その美学と仕事(別冊太陽)のレビューです。
今も息づく娘たちの憧れ
リアルタイムで「それいゆ」を読んでいた母の影響もあり、中原淳一のイラストを見つけるとついつい手を伸ばしてしまうようになった。
中原淳一と言えば、母親世代にとってはファッションのお手本だったようで、今でも彼女は中原淳一のイラストを見ると、まるで娘時代に戻ったかのようにきらきら目を輝かせ、「そうそう、これと同じの作ってもらったわ」「これ流行っていたのよ」など、とめどなく語り始める。
いいですよね、幾つになっても娘時代に戻れる世代本って。話を聞いているだけでも、なんだか楽しくなっちゃいますもん。
「美しく生きる」は、中原淳一のイラスト、著名人のエッセイ、浅丘ルリ子×芦田淳の対談や、装丁画、スーベニール、影絵、人形等々、数多くの作品をカラーページで飾っている。すでに方々で紹介されている作品が多いけれども、何度見ても飽きないですねぇ。
「わー千秋(タレント)に、そっくり!」
「ウエストほっそい~、細くなきゃ着れないなぁ。」
「人形はちょっと、怖い」
「ほしい、ほしい!乙女系付録がほしい!」
・・・などと、ぼそぼそ言いながら見るのもまた楽し。
特に今回は髪型のバリエーションに釘付け!リボン使いや、巻き髪の可憐な雰囲気がたまりません。リボンをつける年齢を、とうに終了してしまったから、尚更いいな~って感情が迸ってしまうのである。
中原淳一世代ではないけれど、エレガンスな気分に浸れるイラストの数々は、ちょっとやささくれた気分の時に見ると「ハッ」とさせられることが多い。
指先のしぐさまで、美しい娘たちの姿を見ていると、やささくれた気持ちが浄化されてゆく。美しいイラストたちに囲まれ、しばし時を忘れるのであった。
そして、たくさんの娘たちを魅了した中原淳一氏の作品から、上品で美しいものは世代を超えて生き続けるものなのだと、強く思った次第です。