モンローが死んだ日:小池真理子著のレビューです。
こんなことがあるのか?目の前に居たあの人が・・・
舞台は軽井沢にほど近い町。都会とは違うゆったりとした時間が流れ、清涼感のある雰囲気のなか静かに進行する大人の恋愛とミステリー。恋とミステリーのバランスが絶妙で、なんというかどこにも違和感がなく、スルスルと話に引き込まれてしまうわけですが・・・。
夫に先立たれた幸村鏡子は心のバランスを崩し友人に勧められた病院へ通う。そこで精神科医の男性と出会い、やがて二人は食事に行ったりしながら交流を含め、週に2-3日共に過ごすようになる。
順調に交際していると思っていた矢先、男性はプツリと彼女の前から姿を消えしてしまう。突然の出来事に、鏡子は絶望的な気分になるのだが、あらゆる手段を使って、彼の行方を探ると、そこには意外な事実が・・・。
読んで行くほどに謎が深まってゆく感じが堪りません
大まかな筋だけにとどめたが、ここに辿りつくまでの二人の関係は、かなり丁寧に描かれている。うつ病になりかけていた女性の姿と治療の様子や処方される薬にいたるまで事細かに書かれている。
また、二人が恋に落ちる過程、その後、たまに見せる男性の不審な態度、女性が見せる恋心など、しっかり読者に印象付けた上ではじまるミステリー。
男が何者なのか?とにかく気になって気になって・・・。どこをとっても無駄がなく展開に釘付けになってしまう。
後半の長い長い手紙は読書の醍醐味!!いろんな思いが錯綜します。最後の章、最後の一行まで、たっぷり楽しませてもらいました。
やはり小池さんは恋愛小説だな~。うんと熟成された大人の恋愛。今回の登場人物たちは50代後半という設定だ。孤独や絶望を知り、将来へ大きな希望を抱くわけでもなく、
静かな余生を考え始める年代。
二人は孤独の穴を埋めるかのごとく再び人を好きになり、やがて怒り、絶望へと変化し、最後には受け入れる。小説を通して、彼、彼女たちの心の闇が手に取るように伝わって来る。
ラストシーンは、安堵のためいきがひとつ。長かったけれども、この日が迎えられて良かったと。長編でもグイグイ読者を連れてゆくあたり、やはり大御所作家ならではのなせる技だと改めて思った。






