今日からは、愛のひと: 朱川湊人著のレビューです。
いつもとひと味違う朱川さんの作品
朱川さんはこういう若者を扱ったライトな作品も書くのかぁーと、数ページ読んだところで驚いた。どちらかというと昭和レトロっぽいどこか懐かしい風景が広がる世界を描いて来た作家というイメージが私のなかであったので、別の作家さんかと思ったほどの意外性。なんとなく表紙も今回はいつもと違う雰囲気ですものね。
展開がめまぐるしく話がどこへ流れてゆくのか、まったく予測がつかない面白さがあったが、後半のファンタジックな展開は、どうなのか。好みが分かれるところだろう。
亀谷幸慈は家も職もない青年が、ある日ギャルにカツアゲされている男を助け出す。なんでもこの男、記憶喪失で過去のことは覚えてないが、普通に生活できるだけの常識はある。
その場限りの出会いのはずだったが、ふたりはズルズルと一緒に行動するようになる。
そして、池袋で「シメ子」という女性に声をかけられ、彼女の家の居候になるのだが…。
シメ子の家は「猫の森」と呼ばれていて、そこにはすでにイカツイ男マロ、ぽっちゃり男子のオク、イケメンのミチヤが生活を共にしている。そこへふたりが加わり、6人の共同生活がはじまります。
家族と縁の薄い人々が共に生活をしていくなかで見つける家庭の温かさや葛藤を描いたもので、会話も個々のキャラが際立っていて、特におとぼけ調になるやり取りも面白い。
後半の展開は好みが分かれそう
しかし、どうなってゆくのか?というものがなかなか見えて来ないもどかしさ。
やがて、それぞれの驚くべき過去が披露されるわけだが。後半大きく話は動くのだけれど、パラレルワールドとか、悪魔とか天使とか、かなり現実から外れてゆくのが、私的にはちょっとしんどかったかな。
それでも、ラストのつなげ方はさすが!いつもの朱川さんの作品ならではの温かい気持ちにさせられ、結局、作風は大きく変わったものの、落ち着くところは一緒なんだなぁ~と感じました。
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