晴れ女の耳: 東直子著のレビューです。
感想・あらすじ 和歌山県紀州の深い森を舞台に広がる怪談短編集
全体的に昔話を聞いている感じで、恐怖心よりはやく先を知りたくなるような雰囲気は
まるでおばあちゃんが話す昔話を聞いているような読み心地。
そして、どの話にもいろんなユニークなおばあちゃんが登場しますよ~。
1番目の「イボの神様」、インパクトあります。
イボって一体なんだろう?どうして出来るんだろう?
どうして増えるんだろう?考えれば考えるほど不気味な存在。
イボのできた少女に母親が「イボの神様にお願いしてみる?」と話を持ちかけます。母親も昔、お願いして治したという。よく効くらしいのです。
そして数日後、母の実家・和歌山からよく乾いた緑色の葉が何枚も送られてくる。この葉っぱをイボにこする。そしてイボの神様に一心にお願いする。7日たったら、その葉っぱを燃やす。ここで大事なことは、中途半端な気持ちでお願いしてはいけないということ。そうでないと・・・・。
少女はちゃんと信じてお願いした甲斐あって、イボは綺麗になくりました。
でも、イボってどこへ消えていくのだろうか?そこには意外なことが・・・。
この話・・・なんだか身体の中からムズムズするようなものがあり、サムイボがわーっと立っちゃいました。迷信的なものや、信仰が合わさった感じの話だった。
おまじないや迷信的なものってあったよなぁ。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」じゃないけれど、治ってしまえばすっかり忘れてしまうわけけだが、その先をちょっと考えさせられちゃう話でもありました。
私が気に入ったのは「先生の瞳」。作家の先生の正体は、母親が海蛇、父親が人間。そしてその子供である先生は河童!?ちょっと哀しくも、なんとも言えない幻想的な世界を感じさせられた話でした。
バリエーションがあり、どの話も大変ユニークでありました。
東直子さんは歌人でもあるとのこと。こんな世界を描ける方の短歌はどんな感じなのでしょうか?そちらの方も気になるところです。
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