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【レビュー・あらすじ・感想】ドンナ・マサヨの悪魔:村田喜代子

 

 

 ドンナ・マサヨの悪魔:村田喜代子著のレビューです。

ドンナ・マサヨの悪魔

ドンナ・マサヨの悪魔

 

 

感想

「ばあさん」と話しかけてくる胎児は悪魔!?

 

村田さんの作品、ついに4冊目です。(自分にしてはかなり速いペースで追ってます)いやぁ・・・ほんと、村田さんの作品って、いろんな顔があって読むたびに新鮮で!楽しませてもらっています。

 

なんじゃーこのタイトルは!って思っていたのですが、イタリア語なんですね。イタリア語で女性につける尊称「ドンナ」だそうで・・・。

 

さて、今回は赤ちゃんの話なんです。それもまだ産まれていない赤ちゃん。マサヨの娘のお腹の中の子が・・・いや、「悪魔」がマサヨに語りかけてくるのです。設定からしてどんどん底なしの世界に落とされてゆくような気分です。

 

マサヨの娘は、情熱的な青い目の男と結婚して、ただいま妊娠4カ月。旦那のパオロはまだ学生!ふたりは帰国し、結局マサヨ夫婦と一緒に暮らすことになる。ここからがなんともゾクゾクな展開で・・・。

 

 

 

 

マサヨはこの娘のお腹の中の胎児と対話するようになる。「ばあさん」と話しかけてくる胎児は天使のささやきとはほど遠く、不気味な声で会話をしてくるのだ。マサヨはもともと犬に話しかけられたりする人なのですが、今度はお腹のなかの胎児に話しかけられる。

 

娘が寝ている時に、マサヨに話しかけて来る胎児。なんでもこの胎児は今まで何度も生死を経験していて、その経験をマサヨに話し続ける。時に、卑猥な話を持ち出すという、およそ赤ちゃんとはかけ離れた世界の生き物に見えてくる。そう、悪魔だ!

 

 

初めての妊娠で身体の変化、精神的な変化に戸惑う若い夫婦。外国人の婿の生活スタイルを受け入れるまでの親夫婦の気苦労。ひとつの生命の誕生を迎えるまでの家族の様子を村田さんならではのユニークなタッチで綴る。

 

美しい妊婦とか、かわいい赤ちゃんなんて言葉は・・・ないです。女性にしか書けないダークな場面の数々が妙にハマってしまう。ドロッとしたとろみがあって、ひそかにパンチがきいている。

 

とにかく胎児とマサヨとの対話が面白い。「ばあさん」なんて話しかけてくる赤ちゃん、やっぱ悪魔っぽいですよね。

ういえば前回読んだ「蕨野行」も、生死、生まれ変わりなどがテーマだったが、ドンナ・マサヨも「胎内」という生命が育つ場所を取り上げている。胎児から老婆までカバーする逞しさよ!村田作品にはこういった作品が多いのかな?いずれも村田作品ならではの読後感。良いです、非常に。