人生終いじたく:中村メイコ著のレビューです。
メイコさんから家族への感謝状のような本
メイコさんが吉行淳之介を「初恋の人」と語っていることを知り、本を出していないかと検索している時に見つけたのがこの本。なんだかとても楽しそうなエッセイなので、それとは別に読んでみたくなった。
これはメイコさんからご家族への遺言状とも言える内容。
でも、全くジメジメしてなくて、思い出話を含め、愛情をたくさん込めた言葉から、家族への感謝状のようにも感じられる。
とにかくカラっとしているし、口調もチャキチャキしていて心地良い。
特に娘たちに対する愛情深い今後のアドバイスなどは、母親ならではの言葉が多い。何故か、メイコさんの娘でもない私がジーンと来てしまうほどだ。
現実的な話もある。
自分の身の回りのものを夫婦ともに既に整理し始めているし、お葬式や戒名、お墓にいたるまでリアルに語っている。
また、入院したってマニキュワはする。と、女優さんらしいなぁーと思わせる一面も。
面白かったのは第三章「奇跡の出会いに感謝します」。ここで「黒柳徹子さんは死なないと思う」と言っている。徹子の部屋は出演した人を見送る役目を背負っていると「私の追悼番組もやってね」などちゃっかりアピールも忘れない。
そしてもちろん淳之介との日々も書いてありました。
「かけがえのない初恋の人」ということで、年に1度はデートをされていたそうです。
淳之介の死後、「メイコからの手紙」を「悔しいから焼いた」と宮城さんに打ち明けられる。70近い女性の嫉妬心に驚愕したとのことだが、私も一緒に驚愕!
最終章は最愛の神津さんへあてた『わが同志「神津サン」へ』で締めくくる。
ずっと女優であったメイコさん。常に演じている自分に違和感があったようで、「一度でいいから私のことをまったく知らなかった人と恋をしたかった」と言っています。
有名人がよくいう「普通の…」ということがどれだけ、彼らにとって難しいことなのかこの一文で理解出来ます。
老後のヒントも!
本書は老後についてのヒントもたくさん含まれています。
特に女の50代は女性にとって一番辛く切ない時期で、肉体的にも大変な時期なのだとメイコさんは言う。そんな心構えも含め、面白可笑しく読むだけの本ではないことを感じました。
生きているうちに、こういう本を書いてしまうこともスゴイ。でもまだまだお元気そうだし、活躍していただきたいと思うのです。「だって気になるじゃない、死んだあとのこと。」表紙のタイトル横に添えられた一言。うんうん、確かに。お茶目な人だな~メイコさんって。