蜜姫村: 乾ルカ著のレビューです。
感想・あらすじ 村人よ!なにを隠している?
その土地にまつわるホラー作品が好きだ。
今回も「村」とタイトルにあるぐらいだからきっと・・・と、期待をこめて読み始める。
瀧埜上村の仮巣地区へある夫婦がやって来る。ここは昆虫学者の夫が以前珍種のアリを追い求め、迷ってしまったときにこの村の人々に助けてもらったという経緯があり、翌年、妻を説得し、再び研究を続ける予定で村に引っ越してくる。
この村には医者がいないという事前情報。医師免許を持つ妻・和子は自分が役に立てるのではないかと、張り切っていたのだが・・・・。
落ち着いたころ、和子は村の人々の健康診断を申し出るが、どの人も拒絶反応。病人が出ても、診察を拒否し、放置している。「必要がない」と言われてしまうのだ。不穏な雰囲気は増していく中、住民以外は絶対入ってはいけないと言われていた社に夫が踏み入り、そしてそのまま行方不明に。この村の不気味さがジワジワと・・・。
一人残された妻は妊娠していて、この村で生む決意をして、そのままこの村で暮らして行くのだが・・・・。和子を筆頭にここから、祖母、母、娘と最終的には3代に
続く話となる。
何かを隠している村の人々。
どうして医者がいなくても、皆健康で、病気をしても翌日ケロリと治っているのか。
蜜姫なるものが暮らす世界がもうひとつの舞台として第二部が進行してゆく。
じゅるるる、じゅるるる
じゅっ、じゅっ、じゅるじゅるり
このシーンが一番不気味!何の音でしょう。
ここが自分にとってのホラーを感じたピークだったかな。
義理がたいホラー!?
さて、和子の娘が大きくなり特殊な環境のもと、恋をし、やがて駆け落ちをする。話は駆け落ちした二人をさらに追い込み、そしてラストへ向かう。けどね、今回、ホラーといえども、禁断の愛に見える「こっそり感」とか、恐れていた人物が「約束を最後まで守り抜く」なんて義理がたいシーンもあり、後味はそれほど悪くはなかったのです。
もっと怖くてもまだまだ行けたのにな~。
最近、怖さに麻痺しているのか、意外に平常心で読めてしまう自分が怖い。どうしたことか・・・・(笑)