「チェーホフとの恋」のレビューです。
感想・あらすじ 彼女が語る「チェーホフとの恋」
チェーホフ・コレクションを、ちまちまと読み進めている。
コレクションだから、チェーホフの作品ばかりと思っていたのだけど、本書はチェーホフの作品ではなく、かつてチェーホフを愛した女性が綴ったものでありました。これが意外にも面白く、シリーズを読む上でチェーホフがどういう人物であったのか知れたことは大きい。
二人は1889年の出会いから1899年までの10年間、付いたり離れたりしながら関係が続いていた。著者のリディア・アヴィーロワは既婚者で子供もいる女性で作家でもある。なのでチェーホフに恋するも、いつも夫や子供のことが頭の中をよぎり、家庭を壊してまでは・・・と、冒険に走るようなことはなかった。
チェーホフはあちこちで恋愛をしていたものの、相手がその気になるとあわてて距離を取ろうとするような男性で、彼と結婚したオリガとも親しくなってから結婚を決意するまで3年近くかかり、その優柔不断さに彼女もずいぶん悩まされたそうだ。
家庭のある女性と、優柔不断な男性との恋の行方に明るいものはどう考えても見えてこないわけだけど、それでもチェーホフの略年譜を見てみると、彼の短い人生にリディアは長期にわたり関わって来た女性であることが分かる。
間の悪いふたりの恋の行方は・・・
解説にもあったが、この二人は非常に「間が悪い」。その間の悪さは1回や2回ではない。本書を読めばそんな場面に何度も出合い、思わず苦笑してしまう。ギッタンバッコン、上がったり下がったり、まるでシーソーゲームを見ているような二人の関係は、見ているほうにとってももどかしい・・・というか解りづらい。
チェーホフは愛についての物語をたくさん書いた作家ではあるけれど、自身の恋愛は果たしてどうであったのか?いわゆる燃えるような恋愛をしたのだろうか?
リディアは家庭持ちの女性だから自分に大きく踏み込んで来ることはない相手だと見込んでいたけど、だんだんそういう状況ではなくなってしまい逃げ腰になったような.....。真実は解らないけど、どうも彼の様子を見ていると、「草食男子」という言葉浮かんでしまう。
さて、たびたび本書で登場した「かもめ」は読まなければなぁという、宿題をチェーホフの昔の彼女に渡された私。 ハイ、いつか必ず(笑)彼女は今でもこうしてチェーホフの作品を宣伝しているのではないか・・・。
彼女のチェーホフへの想いは、こんな形になって今私の元へやって来た。