乙女の花束 折原みと著のレビューです。
感想・あらすじ 吉屋信子の「少女小説」の雰囲気
美味しいお菓子にアンティーク着物、料理にお花……
乙女が大好きな可愛いものを詰め込んだ、新乙女文学決定版!
可愛い装丁に惹かれ手に取り、裏を見ると、自分の好きな単語がツラツラと並んでいるではないか!さっそくページをめくると、「お嬢様学校」の華やかなムードに包まれ、なかなか古風で良い感じです。
鎌倉の全寮制高校、桜の宮女学院は、名家や華族の御令嬢たちが集まる女子校。そこへ入学したのは長野の山奥で育った天真爛漫な主人公・風子。明らかに周りの生徒たちと違う雰囲気を持つ彼女は、ちょっと変わった子として見られるが、寮のルームメイトとは気も合い、楽しく過ごしていたのだが・・・。
少し読んですぐ感じたのは吉屋信子さんの描く「少女小説」の世界に近いものが。全体的の雰囲気もそうですが、少女たちの言葉使い、女子校ならではの先輩と後輩の関係、主人公を苦しめる憎き存在の登場、そして、「ジャジャーン」と音楽が鳴ってしまうような、「運命的な出来事」。最後はきれいに収まってゆく気持ちの良い流れ。清く正しく美しくの世界!
展開は想像がつくのだけど面白い!
本書もそんな要素がきっちり詰め込まれ、展開自体は予想がつくものの、ついつい引き込まれてしまうものがあるのです。
風子が慕っていた「お姉さま」って実は・・・・・的な展開がたまりません!
また、少女たちの会話がさすがお嬢様たちだけあって、優雅というか豪華!
お菓子や着物の話は身を乗り出して参加したくなります。
春からはじまる話は、1か月ごとに区切られ、各章、花の名前が章のタイトルになっているという、細かいところまで乙女度が高いのです。現代版「少女小説」かな。昭和のものより気軽に読める感じです。
風子の天真爛漫なまっすぐな姿がお気に入りだったので、これで終わりかと思うとちょっと寂しいなぁ・・・と思っていたら、なんと、「乙女の初恋」という続編が出ていた!ひゃほー!そうか、そうか、そういえば、次を感じさせられる終わり方だったな。
続編の帯推薦文には、漫画家の松苗あけみさんが
───── もう一度、“少女”に戻って『桜の宮女学院』に入寮してみたい!」
と、言っている。 そう!まさに、「もう一度!」な気分な時にこれは朗報であった。
2年生になった風子ちゃんにまた会えるんだなぁ~♪